青土 青土
青土上布あおにじょうふ
青土上布

手元にある一枚の白絣の上布。素材は苧麻( からむし )です。
細く美しい糸が採れる苧麻も、大麻と並んで日本人が最も古くから" 着て "きた繊維です。
手触りといい、織密度といい、麻の文化が辿り着いた布の最高峰です。
この布に匹敵する、生成りの布を作ろうと始めた青土の上布づくり、先ずは糸づくりから始まりました。

15 年ほど前から、中国で、32 本 /cm の双糸を作ってきました。
人が変わり、場所が変わり、苧が変わっても、現在も続く糸づくりです。
経糸に布海苔を使い、糸に撚りを掛ける上布用の糸は、まさに糸に求められる「丈夫で均一」そのもの。高い績みの技術が求められます。
この糸を使って作ることにしました。

しかし、上布づくりはまっすぐ一直線という訳にはいきません。あちらにぶつかり、こちらにぶつかり、難しいことばかり・・・
それでも、日本には良い素材があり、ねばり強い人がいて、資料もたくさん手にすることが出来る、何かを作ろうとする人間にとっては、この上もない環境です。
「途切れそうで途切れない」、したたかに「あきらめない」を繰り返す。これこそが、" 最初の日本人 "から引継いだ DNAのなせる技かもしれません。

それにしても、この苧麻の「苧」という字、「ちょ」と読んだり、「お」と読んだり、「そ」と読ませることも・・・
意味も繊維のことかと思えば糸のこともある。
「麻」と同様、手績みの麻の世界は、とかく紛らわしいのです。