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日本の大麻布 3

2020/01/31
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[対馬麻 3]
対馬麻の縞には緯縞もある。対馬最南端の豆酘(つつ)は、かなりピッチの広い緯縞である。
布巾が29cmと他所に比べて狭いので、袖口に木綿の紺絣の足し布があるのが、襟のそれと共にアクセントになっている。
この着物を「ののとうじん」といい、「のの」は大麻、「とうじん」は「唐人」だといわれている。
豆酘はかつて海の十字路であったところ。
九州の商人が交易のために大陸に渡る時、必ず豆酘に一泊したという。
鎖国時代、長崎の出島に渡来したインドのサントメ縞(唐桟)が、こうして豆酘に伝わったとしても不思議ではない。
「とうじん」は「唐桟」の訛りではないだろうか?
上総の国の畔蒜(あびる)氏が、その祖先だと伝わる豆酘の阿比留(あびる)氏は、染織に関して特に優れた感性を持った人々だったという。
豆酘独特の、緯縞の「ののとうじん」や、久留米絣の端切れを規則的に繋いだ「はぎとうじん」も、彼らの手で考案されている。
豆酘の人たちが「ののとうじん」を着ていたのは、明治になるまでのことだという。
大切にしまわれていた着物は、戦後、子供達の体操服入れに生まれ変わった。
この袋を持って登校する子供達を、想像するのは楽しい。
何度も洗濯された袋は、白く、柔らかくなり、綻びがあるのも愛おしい。